うつ病について その3 新型うつ

サービス管理責任者の日高です。
前回前々回に続きうつ病についてですが、皆さんは「新型うつ病」というのをご存知でしょうか。

一般的なうつ病は「メランコリー(親和)型うつ病」と呼ばれていますが、この新型うつ病は「非定型うつ病」と呼ばれており、メランコリー型うつ病の典型的な症状を併せ持つものの、異なる特徴を持っております。

以下、非定型うつ病の特徴として
・仕事に行こうとすると憂鬱で、体調不良を訴える。また本当に体調が悪くなる。
・嫌なことをするときは症状が出るが、自分の好きなことをしているときは症状が出ない時が多い。
・責任ある仕事や役職にはつきたくない。
・問題があるとよく人のせいにすることが多い。
・気分が良かったり、悪かったりと波がある。
・うつ病になった原因を自分のせいではなく、他人のせいにする。
・多くは過食や過眠になり、体重も増える。
・わがまま、気分屋などと思われ、周りに誤解されやすいが、うそをついているわけではなく、本当に本人は苦しい。

このような特徴から、見方を変えれば、自分の都合が悪いときなどに抑うつ症状が発生するので、「わがまま病」のように取り扱われることがありますが、これもうつ病の一種として現在では捉えられています。

新型うつ病は、研究によって脳の機能が低下しているために起こることがわかってきています。脳の視床下部は、ストレスを感じるとホルモンを分泌させたり、自律神経に働きかけて、体の働きを調整します。新型うつ病は、この部位に何らかの機能異常をきたしていると考えられているそうです。

このような異常があると考えられるため、本人は本当に苦しいとあるように、例えば、突然に涙が溢れ出し、感情のコントロールができなくなり、周囲に助けを求めようとしますが、周囲の人たちは、本当の苦しみを理解できないために精神的苦悩は改善されるどころかますます悪化し、悪循環を招くことさえあります。

治療方法としては、投薬治療よりも精神療法(カウンセリングなど)が治療の中心となります。しかし、投薬により改善される部分もあるので、必要な場合、お薬は治療の補助的な役割と思って処方していただくのがよいでしょう。

非定型うつ病の対策のポイントとしては
・休養は必要だが、過度の休養はしない。
・その後、小さく短期的なハードルを与えていき、できるところから体を慣らしていく。例えば、「朝起きたらカーテンを開ける → 窓を開ける → 寝間着を着替える」など、一つ目が出来たら次の段階へと小さく進める。
・規則やルールを守り、自分だけ特別扱いしてもらおうと思わないようにする。
・「自分は病気を治すんだ」という強い意思を持つ。
・「そろそろがんばらないと…」と危機感を持つ。
・周りの方は感情的にならずに冷静に対応する。

次に、非定型うつ病の方との接し方について
・非定型うつ病の特徴に、気分反応性というやっかいな症状があり、「楽しい事や嬉しい事があると気分が上がり、イヤなことやつらいことがあると気分が落ちる」と状況に応じて気分が大きく変わるというものです。
 
例えば、好きな遊びに行くとなると急に元気になるが、嫌な仕事だと思うと体がいうことをきかない状態なので、それを「甘え」だとか「根性なし」と言ってしまうと、本人は大きなショックを受け、非定型うつ病の症状のひとつである拒絶過敏性が更に強まってしまいます。なので甘えだという言い方は禁物です。

・非定型うつ病の患者さんには拒絶過敏性という特徴があります。これは他者の評価を過剰に気にしてしまい、相手の言動に対して過敏に「拒絶された!」と反応してしまう傾向の事です。

例えば、主治医から「朝早く起きるようにしてください」と指導されたのに、昼前くらいにやっと起きてきた。そこで家族が「今日起きるの遅かったね。明日は早起き頑張ろうね」と軽くアドバイスすると、「家族からダメ人間だとバカにされた!」と過剰に悪い方向にとらえてしまうのです。

なので、拒絶過敏症が現れた場合は、〈悪意はないという事実を冷静に淡々と伝えること〉〈悪く考えてしまうのは病気の症状ではないかと伝える事〉〈それでも納得してくれなければ深追いはしない事〉と拒絶過敏性には冷静に対応する必要があります。

・非定型うつ病の場合は、適度なプレッシャーや負荷があった方が治りが良い事が経験的に知られています。そのため、時には厳しく「そこは頑張ろう」「それは自分でやってみようね」と適度な厳しさを持って接することも重要です。

・非定型うつ病という疾患は、生活リズムが乱れやすい疾患であり、また生活リズムの乱れが病状を悪化させやすい疾患でもあります。そのため、「生活リズムを規則正しくすること」というのは、非定型うつ病の治療における鉄則です。家族などであれば、夜更かししないように見る、朝起きない時は起こす、昼寝しないように見てあげる、適度な運動を促すなど、可能な限り生活リズムを保つサポートをできることが重要になってきます。

最後にご留意いただきたいのは、新型うつ病の症状があてはまるからといってご自身で判断せずに、まずは心療内科や心理カウンセラーなどにご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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